今年の○○ in 2015

「speak alone in 2015」。

今年は、戦後70年ということもあって戦争画や戦争をテーマにした作品や展覧会をよく目に、耳にする年となりました。残念なことは、安保法案が可決してしまったこと、戦争やテロ、難民危機などの歴史がまた新たに築かれたこと。今に限った話ではないですが、なかなか収束のつかない事態に対しては悲愴な面持ちになります。

展覧会では、行ってないけれどもバカルギエフのイスタンブールビエンナーレ14が良かったのではないかと思います。ドクメンタ13から引き続き、彼女が追い求めているものそのものについて気になるのですが、一方的な押しつけに感じなく、常に対話をしている状態の展覧会を提示する様が尊敬できます。
それとミヤギフトシさんが企画されたxyzでの展示、碓井ゆいさんの作品「empty names」がとても良かったです。この作品のおかげで、クロード・ファレールの「戦闘」を知りました。クロード・ファレールに限らず、時代の流れで消え失せた書籍、作家は沢山いると思うのですが、こうして新たなかたちでアーカイヴしていく、残していく手法はあるのだということがわかります。

書籍では、「女ひとりの巴里ぐらし」。11月に起こったパリの同時多発テロの2日前でしょうか。本屋を営んでいる書店兼友人宅に行ったときに、それはまだ値段未整理の状態でぽんと置かれていました。何か直感的に、この書籍に手招きされたような感じがあったので、まだ読んでないという主にお願いをして本を譲ってもらいました。読んでみるとこの主人公の女性と自分が同じ年齢であることに気付きました。内容も、その当時のパリでの出来事を、ところどころ今となっては差別とされるような暴言も交ざってますが、自由に描いている作品です。

映画では、小泉明郎さんのインタビューで知った木下惠介の「陸軍」やエリック・ボードレールの「マックスへの手紙」が作品として優れてましたし、紛争について考えるものもありました。こうした戦争にまつわる作品は、戦争というものが今迄一度もなければなかっただろうし、そうした意味でない方がよかったものでもあるので、作品を見て良かったと思うと同時に実際に起きた戦争に対してを考えると複雑です。

来年は少しでも多くの人が紛争の世界から離れることができますよう。
今年もみなさま、ありがとうございました。(K)