今年の○○ in 2016

恒例の「speak alone in 2016」は、ギャラリー小柳の「かんらん舎(1980-1993):Daniel Buren / Tony Cragg / Imi Knoebel」です。今年は何回か、大谷さんとお話しする機会をいただいたのですが、独学のリサーチや興味の対象とすべきところが本当に面白くてお手本にしたい人であり、会うたびに刺激を受けました。
この展覧会のDMのデザインは大谷さんの提案で、タバコ会社「Peace」のパッケージ・デザインを用いているわけですが、その元となったのが、デザイナーであるクネーベルの子が、父(クネーベル)がダルムシュタットの美術工芸学校で朝から晩まで読んでいたという書籍のデザインを、戦後に、新たな「Peace」パッケージとして蘇らせたもの、とのこと。
大谷さんの文章は、真摯に作品と向き合う姿勢が表れていて、ビュランの意志を受け継ぐようにギャラリストの仕事に取り組む姿が印象的でした。なぜビュラン、クラッグ、クネーベルという作家が、大物作家と言われているのか。その所以を、大谷さんの個人的な史実を通して理解できたような気がします。これからも色々なお話を聞きたいです。
あと、今年は新規国際展をいくつか観たけれど心には響いてこなかったのが正直な感想。西欧化に対するアンチな意見や、日本独特の美術の確率を目指す人の意見も聞くけれど、それでも現代西欧のアプローチの仕方・思想哲学は、まだまだ学ぶべき点は多いと思います。あとは、今、日本が考えるべき内容を押さえた展示を行うことが、2017年の目標だなと。

それではみなさま、今年も本当にありがとうございました。
来年はきっと多忙。さらに多くの人との関わりを望むと同時に、そのひとつひとつの出会いを大切にしていきたいです。(K)