今年の○○ in 2013

お久しぶりです、Kです。今年は自身の職場環境が変わったため大学に立ち寄ることは本当に僅かとなりましたが、ここでの日記、今年のアート納めは例年と変わらずに行いたいと思います。

年末恒例「speak alone in 2013」。
今年はヴェネツィアビエンナーレに行ってきました。全体の印象強さでいうと4年前の方が強かったかな。とは言ってもレベルの高さは一定してたし、まだ2度ほどしかヴェネツィアを体験したことがないのですが…。観た中で国別でいうとジェレミー・デラー(イギリス館)が一番良かったです。日本館受賞や他の受賞作のことで持ち切りとなり、あまり話題にはされなかったイギリス館ですが、独特な雰囲気を持つ映像作品がいい感じに余韻を残してくれました。小芝居をみるかのようにセットされた映像前の椅子とそして今観たものを何とも言わせなくするかのような休憩所。魔法にかかってファンシーな気持ちになる展示ではなく、あくまでも現実的に自ら騙されたくなる/騙されてもいいような「English Magic」な展示でした。私と友人の内々だけの中で圧倒的人気なのがオーストリア館。核心をつくようなコンセプチュアルな作品でありながらも、びっくりするくらい緩〜い見せ方。あらゆる意味で衝撃的でした。「ああいう展示は日本人にはできない」と友人との会話。オーストリア館の作品があるのとないのでは今回のジャルディー二の印象はかなり変わったと思います。アルセナーレの企画の方で気になったのは1985年生まれで近しい年代のHelen Martenの映像インスタレーションです。全部を観ることはできなかったけれど、雰囲気的直感的にいい作品だと感じました。もう一度観る機会があるといいなあ。そしてラグナーの音楽、今回もまた心地よかったです。天候にも恵まれ川縁で大勢の人と共に聴き入ってました。今回のヴェネツィアの企画に対し、観に行った直後は完璧すぎる設計に苦手…と感じたものの、いまぼんやりと思い返すと、長期的に少しずつ読み返したくなるような展示だったのかもしれません。

身近なところでは榎本浩子さん、今年も良かったです。それと日産アート・アワードの小泉明朗さん。もともと人情味のある作品に弱いのですが、BankARTに2回ほど観に行って2回とも涙ぐんでしまいました。そういえば彼の(別の)作品で六本木で展示されていたものがヴェネツィア国際交流基金の会場でも展示されていました。六本木で観たときはなんとも思わなかった(むしろ六本木クロッシングに合っていると思った)のに、ヴェネツィアで観たときは「なぜヴェネツィアで日本の嫌悪感漂う作品を観なければならないのか…」とあまりいい印象を持てませんでした。観る場所によって見え方が変わりますね。自分の持っているその土地に対しての価値観も入ってくるものだから不思議です。また東京都現代美術館フランシス・アリス展とそのカタログ。展覧会カタログは研究者だけが手にとるものではないので、わかりやすくけれども内容はしっかりと、な吉崎さんの文章は真似たいな。

観に行きたかったのは、ドイツでのメレット・オッペンハイムの回顧展。シャルジャ・ビエンナーレ2013の巨大スクリーン屋外上映は羨ましい限りです。名古屋市美のハイレッド・センター展は来年松濤美術館での巡回を楽しみに…。

今年も残すところあと僅かとなりましたが、今年会えた方も会えなかった方も一年ありがとうございました。
それでは皆様、よいお年を…。(K)